2026年3月31日、市が「雨水出水浸水想定区域図」を指定・公表しました。想定している雨は1時間あたり120mm。これまで市が公開してきた内水ハザードマップの想定は1時間74mmだったので、想定雨量は46mm/h大きくなっています。
ところが「郡山市 冠水」で検索して出てくる記事は、まだ74mmの話で止まっているものがほとんど。自分の家や通勤路のリスクを調べるつもりなら、まず今どの資料を見ればいいのかを整理しておいた方がいい。
この記事では、郡山市の浸水情報が今どうなっているか、新しい区域図をどう見るか、そして市内24箇所のアンダーパスをまとめます。
郡山の浸水情報は今、3つ並んでいる
内水(下水道や側溝から水があふれるタイプの浸水)に関する資料が、市から3種類出ています。さらに4つ目が準備中。
| 資料 | 想定した雨 | 法的な位置づけ |
|---|---|---|
| 内水ハザードマップ(令和2年4月30日改訂) | 1時間74mm/10分23mm/総雨量101mm | 水防法に基づくものではない |
| 3次元浸水ハザードマップ | ゲリラ豪雨ケース=時間最大101mm、台風ケース=総雨量251mm | 参考資料 |
| 雨水出水浸水想定区域図(2026年3月31日公表) | 1時間120mm(想定最大規模降雨) | 水防法第14条の2 |
| 水防法に基づく内水ハザードマップ | 未公表 | 令和8年度末に作成・配布予定 |
ややこしいのは「101」という数字が2回出てくるところ。内水ハザードマップの101mmは総雨量で、3次元浸水ハザードマップの101mmは時間最大雨量です。意味が違います。
なぜ今このタイミングで新しい図が出たのか。市のQ&Aによると、令和3年度の水防法改正で雨水出水浸水想定区域の指定対象が広がり、郡山市も指定が必要になったためだそうです。法律側の要請で、これまでの自主的なマップとは別枠の図が作られた、という順序になります。
新しい雨水出水浸水想定区域図の見方
公開されているのは2種類の図です。浸水深を示したものと、浸水継続時間を示したもの。
浸水継続時間の方は、他のハザードマップにあまりない考え方です。1時間120mmの雨で50cm以上の浸水が想定される区域と、その水位が50cmを下回るまでの時間を図にしています。水が引くまでどのくらいかかるかが分かります。
全体図はPDFで11MB近くあって開くのが重いので、市域を15分割した図郭割の方から自分の地区を探した方が早いです。
| 番号 | エリア |
|---|---|
| 1 | 熱海町 |
| 2 | 日和田町高倉 |
| 3 | 喜久田町ほか |
| 4 | 日和田町ほか |
| 5 | 富田町ほか |
| 6 | 富田町・富久山町ほか |
| 7 | 富久山町ほか |
| 8 | 郡山駅前(北部)・富久山町ほか |
| 9 | 郡山市役所周辺・大槻町(北部)ほか |
| 10 | 小原田ほか |
| 11 | 大槻町(南部)ほか |
| 12 | 久留米・香久池ほか |
| 13 | 田村町ほか |
| 14 | 東部ニュータウン |
| 15 | 安積町ほか |
見るときに押さえておきたい注意書きが、市のページに3つ載っています。
ひとつ、この区域図は簡易的な浸水シミュレーションによるもので、想定される浸水深や継続時間は実際と異なる場合がある。ふたつ、河川の破堤や越水による氾濫は考慮していないので、図に示されていない場所でも浸水は起こりうる。みっつ、浸水継続時間は雨水が排水されない状況で想定しているため、時間がたてば自然に解消されるものとして読んではいけない。
排水能力についても、公共下水道の施設から河川へ排水できない状況を想定しているので、下水道も道路側溝も水路も、排水する力はゼロとして計算されています。かなり厳しめの前提です。
実際に、単身赴任先のアパートから職場までの通勤ルートもハザードマップで確認してみました。職場までは車で5分ほどの距離なので、通勤ルート全体として見ると浸水リスクはそれほど高くなく、冠水が想定されている場所もありませんでした。
一方で、職場の近くには周囲より少し低くなっている場所があります。そこはハザードマップ上でも浸水しやすい区域として示されていて、普段感じていた地形の印象と一致していました。実際の場所と照らし合わせながら見ると、ハザードマップの意味がより分かりやすくなります。
旧マップ(74mm)はもう見なくていいのか
両方見た方がいいと考えています。想定している状況が違うからです。
74mmの内水ハザードマップは、市が「近年大きな被害を発生させた雨」として実際に降った雨をもとにしたもの。起こりやすさで言えばこちらが現実的です。一方の120mm版は、排水能力を厳しく見積もった想定最大規模のシミュレーションです。実際、2026年9月7日にいわき市で発生した大雨では、アンダーパスの排水ポンプが稼働していたものの、排水先の河川水位上昇などの影響で排水が追いつかず、冠水事故が発生しています。
ただし法的な扱いは逆で、74mm版は水防法に基づくものではないと市自身が注記しています。水防法に基づく内水ハザードマップは令和8年度末の作成・配布予定なので、今は過渡期。来年の春に、また情報が入れ替わります。
74mmの想定区域は郡山市地理情報システム(GIS)で地図上で確認できます。住所から検索して重ねられるので、PDFより手軽です。
洪水(河川氾濫)は別の資料で見る
ここまでは内水の話です。阿武隈川などの河川があふれる洪水は、担当課も資料も別になります。
自宅の住所から洪水と内水の両方をまとめて確認したいなら、国土地理院の「重ねるハザードマップ」が早い。住所を入れると、洪水・土砂災害・津波などのリスクが重ねて表示されます。
浸水が時間とともにどう広がるかを映像で見たい場合は、市の3次元浸水ハザードマップ。ゲリラ豪雨ケースで48地点、台風(長雨)ケースで5地点の動画が公開されています(2024年4月時点)。ゲリラ豪雨ケースは平成25年5月25日に降った時間最大101mm、台風ケースは平成23年9月21日の台風15号による総雨量251mmが元になっています。
通勤路のアンダーパス24箇所
車で移動する人にとって、特に注意したいのが地下道(アンダーパス)です。
郡山市内で道路冠水のおそれがある地下道(アンダーパス)は24箇所。内訳は国管理が1、県管理が4、市管理が19です。排水は基本的に自然流下方式で、排水が難しい箇所だけ排水ポンプで強制排水しています。
このうち市が管理する13箇所には冠水警告板が設置されていて、通行止めなどの情報が表示されます。
| # | 名称 | 所在地 |
|---|---|---|
| 1 | 福原地下道 | 富久山町福原字町田 |
| 2 | 境田地下道 | 富久山町福原字境田 |
| 3 | 岡ノ城地下道 | 富久山町久保田字岡ノ城 |
| 4 | 久保田地下道 | 富久山町久保田字前田 |
| 5 | 恩田地下道 | 富久山町久保田字古町 |
| 6 | ゆうゆう地下道 | 向河原町 |
| 7 | 小原田地下道 | 小原田一丁目 |
| 8 | 開成山地下道 | 図景一丁目 |
| 9 | 鴨落地下道 | 図景一丁目 |
| 10 | 第2荒井地下道 | 小原田五丁目 |
| 11 | 第1荒井地下道 | 安積町荒井字下千保 |
| 12 | 天神林バイパス下 | 富田町字北向49 |
| 13 | 卸町トラックターミナル地下道 | 喜久田町字菖蒲池 |
開成山地下道は、図景一丁目の牛たんけやき付近にあります。
実際にいくつか歩いて回ってみて、分かったことがあります。アンダーパスの多くは、JR東日本の線路の下をくぐる場所にありました。郡山駅には東北本線・磐越西線・磐越東線・水郡線が集まっていて、線路が市街地を東と西に分けています。駅の東側と西側を行き来する道路が線路の下をくぐるように作られているので、アンダーパスは駅の東西を結ぶ場所に集まる。考えてみれば当たり前の話でした。
特札堂近くにある第2荒井地下道を、東側から撮影した様子です。
線路をくぐる道は、周りの道路より一段低くなっています。雨水は低いところに集まるので、大雨のときに先に水がたまりやすい。市が排水の難しい地下道にポンプを付けているのも、この形が理由です。
郡山駅すぐ北側の美術館通にあるゆうゆう地下道
ゆうゆう地下道周辺は、2019年の令和元年東日本台風でも浸水被害が確認されています。郡山市の資料には、10月13日に撮影された同地下道付近の浸水写真も掲載されています。
駅の東西を車で行き来している人は、普段の道のどこかで線路をくぐっているか、上を越えているかのどちらかです。自分がどちらを通っているか、一度確認しておくと大雨の日の判断が早くなります。
市も書いていますが、警告板があるかないかにかかわらず、大雨のときの地下道は注意して通ってください。24箇所のうち警告板があるのは13箇所だけ。残りには何も表示されません。
大雨の日に見るもの
降っている最中に確認できる情報源を3つ挙げます。
国道4号・49号なら郡山国道事務所のライブカメラ。15分ごとに画像が更新されます。同事務所は道路情報専用のXアカウント(@road_koriyama)も運用していて、規制と解除がその都度流れてきます。
道路の異状を見つけたときは道路緊急ダイヤル #9910。ただしこれは通報用の番号で、冠水しているか問い合わせる窓口ではありません。
まとめ
やることは3つです。
- 雨水出水浸水想定区域図で、自分の地区の図郭割PDFを1枚開く
- GISで74mm版の内水想定も見て、両方の色を比べる
- 通勤路にアンダーパスがあるなら、場所と警告板の有無を確認しておく
全部やっても30分かかりません。来年春には水防法に基づく内水ハザードマップが出る予定なので、そのときにまた見直すつもりです。
最近はいろいろな地域で線状降水帯による記録的短時間大雨情報が出ており、その都度冠水している車や事故のニュースが流れます。
ハザードマップは、大雨が降ってから見るより、平常時に一度確認しておく方が役立ちます。自宅だけでなく、通勤・通学ルートまで確認しておくと、実際に大雨になったときの判断がしやすくなります。
参考リンク
- 雨水出水浸水想定区域図(郡山市上下水道局)
- 郡山市内水ハザードマップ(ゲリラ豪雨)
- 郡山市3次元浸水ハザードマップ
- 各種ハザードマップ一覧(郡山市防災危機管理課)
- 郡山市洪水ハザードマップを改訂しました
- 地下道(アンダーパス)の冠水危険個所(郡山市道路保全課)
- 郡山市地理情報システム 内水浸水想定区域(R2.4)
- 重ねるハザードマップ(国土地理院)
- 郡山国道事務所 ライブカメラ
- 郡山国道事務所 道路情報(X)
※本文中の数値と区域図の情報は2026年8月30日時点で各公式サイトを確認したものです。ハザードマップは改訂されるので、実際に確認するときは最新版をご覧ください。





コメント